サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン付き」

Saint=Saens:Symphony No.3 in c-minor Op.78 "Avec Orgue"


 誰だ、こんな曲に決めたのは?
 今年はサン=サーンスの生誕150年で、この曲が書かれてから100年目にあたります。また彼の誕生日は当オケのコンミスと同じで、1835年10月9日です。でも別に、このようなことにちなんで決めた覚えは無いんですがねぇ・・・・ハハハ偶然ですよ偶然。
「キリギリスさんは夏の間何もせず、ずっとバイオリンを弾いていました。秋になってもまださらっています」(Vn)
「気楽なもんよ、前回の『悲愴』よか」(Va)
「−−−−(舌がもつれております。しばらくお待ち下さい)」(木管)
「一生に一度はステージでHigh-Dを出してみたいね」(Trp)
「僕おこってませんよお」(Timp)
「エネルギー残しとけよ、もう1曲あるんだから」(合唱)
・・・・大丈夫ですよパワーは。音程はどうとあれ。さて、管弦楽の中に特殊なものをフィーチュアして独自の効果を狙った交響曲はけっこう少なくありません。有名なところではベートーヴェンの9番(混声合唱)。楽器とは到底思えない「道具(?)」を使ったマーラーの6番(むち、カウベル、ハンマー等)。意外と身近なものが登場する同7番(ギターとマンドリン)etc.。このサン=サーンスの3番もその一つです。『オルガン付き』と銘打ってはいるものの、実は彼以前にもリストが「ファウスト交響曲(1857)」にてオルガンを使用しています(サン3のスコアの表紙に「フランツ・リストの追憶のために」とあるのは、オルガンを意識したのでせうかね)。しかし、オルガンをオケの一部として効果的に活用しているという点では、やはりサン=サーンスの方に軍配があがります。初演は1886年に作曲者指揮のロンドン・フィルハーモニーで行われ、シンフォニスト(交響曲作家)としての彼の名は不動となったのです。
 曲は2楽章から成っていますが、普通の4楽章形式の1〜2及び3〜4楽章が切れ目なく続いている、と考えれば精神衛生上良いと思います(そうです、「運命」の3〜4楽章のような感じです、ほら安心したでしょう)。最も、練習の際は各楽章の呼び名で大混乱しましたが。

第1楽章:Adagio〜Allegro moderato(実質第1楽章)〜Poco adagio(実質第2楽章)
 
短い序奏の後に弦や木管に現れる第1主題がさまざまに変化して全曲を支配しています(このリズム正確に取れる人、手ぇ上げて!)。金管楽器も加わって前半のクライマックスの後、潮が引くようにして後半のPoco adagioに入ります。オルガンも加わり、全曲の中で最も美しい部分と言えましょう。

第2楽章:Allegro moderato(実質第3楽章)〜Maestoso〜Allegro(フィナーレ)
 
前半は、要するにスケルツォです。また例の旋律が顔を出します。中間部はPresto、木管楽器とピアノが大活躍です。スケルツォ再現の後再びPrestoで、その時に低音楽器がフィナーレの主題を予告します。巧妙な盛り上がりの後に突如静かになり、オルガンのハ長調のffにてフィナーレのMaestosoに入ります。その直後に4手のピアノが入る8小節間は、まるでシンセサイザーのような宇宙的な響きがします。このあとは・・・・ひたすら盛り上がるのみ。クラシックの曲とは思えない程の過激な終結となります。


(1985.11.22)



もとい