ショスタコ−ヴィチ:映画『マクシム』三部作のための音楽より 作品50a
D.Shostakovich:From the film music"Maxim"Triology
旧ソヴィエトの作曲家ドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906〜1975)は15曲の交響曲を筆頭に管弦楽曲・協奏曲・器楽曲・室内楽曲など、多岐にわたりおびただしい数の作品を遺しています。その作品群の中でも映画音楽は特に重要な位置を占めており、一見何の変哲もないお気楽な音楽を装いつつも、当時としては斬新な要素を盛り込んでおり興味深いものとなっています。本日のメインプログラムである交響曲2曲(第2番、第6番)に先立って演奏するのは、映画音楽『マクシム』三部作(『マクシムの青春』『マクシムの帰還』『ヴィボルグ地区』)のために作曲された付随音楽です。映画のストーリーは主人公のマクシムが徐々に社会主義に目覚めていくという、当時のソヴィエト映画にありがちなもので、映画も音楽も当局に気を遣って意図的に単純明快なものにしたようです。
この3作品の映画のうち、ショスタコーヴィチが作曲した音楽が占める比重にはかなりばらつきがあり(例えば『マクシムの青春』では序曲のみ)今回演奏する音楽も、とりあえず編纂・出版されているものを一通り集めた結果、演奏時間のばらつきや曲調の似た曲が連続している等、アンバランスな構成となっています。ヴォーカルスコアが入手できなかった関係で2曲目(『マクシムの帰還』前奏曲)の合唱こそ省略していますが、本日は演奏可能な全10曲を、完全ノーカットでお送りいたします。
『マクシムの青春』より
1.プロローグ(Op.41)
『マクシムの帰還』への音楽Op.45(Op.50a)
2.前奏曲(第1曲)
3.襲撃(第2曲)
4.老いた労働者の死(第3曲)
5.ワルツ(第4曲)
6.デモンストレーション(第5曲)
7.バリケードでの戦い(第6曲)
8.葬送行進曲(第7曲)〜
9.終曲(第8曲)
『ヴィボルグ地区』
10.序曲(Op.50)
(2019.3.3)