ムソルグスキー/リムスキー=コルサコフ:交響詩「禿山の一夜」

Mussorgsky/N.R=Korsakov: "A Night on the bare Mountain"


 ムソルグスキー(1835〜1881)はロシア5人組の1人であり、名も広く知れ渡ったところの作曲家である。しかし彼の場合、作品にまつわる謎や問題がいろいろとあり、故に彼の作品は全くのオリジナルスタイルで演奏される機会は比較的少ない。「展覧会の絵」しかり、そして本日演奏する「禿山の一夜」しかりである。
 ムソルグスキー自身は3種類の「禿山」を残したと言われている。

@第1稿・・・・1867年4月完成。「聖ヨハネ祭前夜の禿山」というオリジナルタイトル。本来はバラキレフ等との共作によるオペラの1場面として計画したが、単独の管弦楽曲として完成。彼自身は大変気に入ったそうである。アッバード等が演奏会やレコーディングで採り上げているが、後述のR.コルサコフ版との関連性は薄い。

A第2稿・・・・1872年。5人組の共作オペラ「ムラーダ」の1場面の音楽として、第1稿を合唱と管弦楽用に編曲。但しこのオペラの共作計画は「お流れ」となってしまった。未出版。

B第3稿・・・・1878年。彼自身のオペラ「ソロチンスクの市」の間奏曲として、第2稿に手を加えて独立した合唱と管弦楽の曲に直した。しかし1881年、ムソルグスキーはこのオペラは未完成のまま世を去る。この稿は現存せず。

 以上3つの異稿の中には「出版・演奏にふさわしいものは1つも無かった(R.コルサコフ)」。そこで彼はこの曲の全面的なアレンジに着手し、1885年に完成した。これが本日演奏する「禿山」である。彼の編曲はオーケストレーションからリズム・曲の構成にまで及んでおり、どこまでがムソルグスキーの作品でどこからがR.コルサコフの作品なのかは何とも言えない。
 版のことを書いていたら、他のことを書くスペースが無くなった。まあ要するに「禿の山の一夜」なんですよ。

(1885.6.1)


もとい