ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92
L.v.Beethoven:Symphony No.7 in A-major Op.92
第1楽章 ポコ・ソステヌート(やや音を保って)〜ヴィヴァーチェ(躍動的に)
スコットランド民謡風の序奏つきの快速な楽章なのですが、主部に入る直前に静かになってから木管楽器とバイオリンでやりとりするE(ミ)音。メロディーではなく、リズムの変化だけで音楽が進みます。そして拍子が8分の6拍子に落ち着き、フルートが第1主題を奏でます。この「ターッタタン、ターッタタン…」という弾むようなリズムが第1楽章の基礎となっています。ホルンのきらめく高音が響く中、A-dur(イ長調)の和音で輝かしく終結します。
第2楽章 アレグレット(やや速く)
前楽章の眩いばかりの明るい終結を、ここでは冒頭のa-moll(イ短調)の和音で唐突に否定し、一気に奈落の底に突き落とします。そして低弦に始まる葬送行進曲風のリズム。この特徴的なリズムが首尾一貫して繰り返され、前半のクライマックスを構築します。中間部はリズムそのままに長調に転じ、クラリネットとファゴットがこの世のものとは思えない美しい旋律を奏で始めるのです。
第3楽章 プレスト(急速に)
快活な主題が各楽器の間を跳ね回るような主部に続いて、オーストリーの巡礼歌を引用したと伝えられている主題と、単音を延々と伸ばし続けるだけのシンプルな伴奏による素朴なトリオ(中間部)。これが2回繰り返されて3度目のトリオに突入しかけるや否や、突如としてこの楽章は終わります。
第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ(快速に、元気に)
冒頭のティンパニと管楽器で示される「ドドドン!」というリズムと、続いて弦楽器で奏される民族舞曲風のテーマ(アイルランドもしくはハンガリー舞曲からの引用?)が執拗に繰り返される、かなり熱狂的な終曲。ベートーヴェンは情熱家とはいえ、ここまで過激なフィナーレを書いたのは初めて、当時としてはまさに「前衛音楽」です。その勢いは衰えることなくエンディングまで突き進みます。
この曲は初演以降、さまざまな賛辞が残されています。有名なところでは「舞踏の神化」(リヒャルト・ワーグナー)、「リズムの神化」(フランツ・リスト)、そして「酔った勢いで書いた曲?」とは作家ロマン・ロランの言葉です。
さて、皆さんはどうお感じですか?
(1998.7.25)