ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調Op.93
L.V.Beethoven:Symphony No.8 in F-major Op.93
さて、本日のメインプログラムです。それにしてもベートーヴェンの交響曲とかいうと、いかにも"クラシック"って感じしません?巷じゃベートーヴェンなんて一時代前のものとして片づけられているし、プレイヤー側にしても何だか手アカで汚れきった感があるし、聞く方も・・・・失礼ですがお客様・・・・お目当てはストラヴィンスキーで?いやあ、日本中のベートーヴェンファンの皆さんすみません。でもやる方がつまらない気分で演奏したら聞く方もつまらないの、当たり前ですよね。ところで私が思うに、特にベートーヴェンの交響曲など、センス次第でいくらでも新鮮で現代的なものになり得るのではないでしょうか。2番とか、本日演奏する8番などはその典型であるような気がするのです。例えばリズムとかは相当凝っており、作曲された当時としては寧ろかなり前衛的に響いたはずなのです。以下はこの曲のそんな魅力のエッセンスです。
第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ
冒頭にいきなりFdurの和音で開始されます。全体的にシンコペの第2主題、あちこちに顔を出すオクターブの跳躍がこの楽章のインパクトになっています。コーダは長いのですが、終わり方はあっさりしています。
第2楽章:アレグレット・スケルツァンド
普通3拍子のはずのスケルツォが2拍子で書かれています。淡々とリズムを刻み続ける木管に乗って、ヴァイオリンとチェロが対話します。ハイドンの「びっくり」を思わせるffがあります。最後はppからffまでわずか2小節のクレッシェンドの頂点で、突然終わります。
第3楽章:テンポ・ディ・メヌエット
途切れることのない弦楽器のうねりが主部を支配しています。もしかしたら全4楽章中最もノリが悪い楽章かも。でもトリオにおけるクラリネットとホルンとのからみは絶品です。泣いてください。
第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ
心地よいくらい快速な曲(のはず)。突然現れるCisのユニゾンを合図に一層加速がつく(はず)。オクターブの跳躍が再びティンパニとファゴットに現れます。最後はやはりベートーヴェンらしく、しつこく長大なコーダとなります。
(1989.4.23)